2009年8月31日月曜日

Nehalem EX at HOT CHIPS 21

例によって、あまりテクニカルな内容ではなかった模様。

Intel details Becton, 8 cores and all

新しいネタとしては、L3$(3MBx8)がリングバスで接続されていることが公開されたこと。Rainbow Fallsが複雑なクロスバーで頑張っているのとは対照的。チップ内インターコネクトに場所を取るより、単純化してキャッシュ容量を増やした方が性能が出るということだろうか。

この発表に関して、安藤さん。

最近の話題 2009年8 月29日
今回,明らかになったのは,8個の3MBのL3$スライス間とコヒーレンスユニットの間の接続にリングバスを用いていると言う点と,従来,QPIはディレクトリベースのコヒーレンス機構を使うと説明されていたと記憶しているのですが,今回,ソースブロードキャストを行うスヌーププロトコルでコヒーレンシを維持していると発表されたことです。
「L3$スライス間とコヒーレンスユニットの間の接続にリングバスを用いている」ということなので、上記の私のコメントは見当外れなことを言っているかも知れない(ここらへん、あまり理解してません)。 後半の方は、簡単に言うと「cc-NUMA をやめた」ということで良いのだろうか? (ここらへんも理解してません)

とりあえず、4コア→8コアでキャッシュ構造の変更が必要だとIntelは判断したらしい、ということで。

['09.09.09 追記]

安藤さん@マイコミ。

Hot Chips 21 - サーバ向けプロセサの「Magny-Cours」と「Nehalem EX」

L3$とメモリインターフェースの強化について、詳しく解説してある。

L3$のリングバスのバンド幅は250GB/s以上とのこと。また、メモリはScalable Memory Buffer(SMB)を介してDIMMに接続する方式としており、チップあたりではDDR3×8チャネル、16DIMMとなり、Nehalem EP(3チャネル6DIMM)から3倍近くメモリバンド幅と容量を向上させている、とのことである。

QPIのキャッシュコヒーレンシ方式の変更については、
Kanter氏によると、本格的なディレクトリ方式のコヒーレンス機構は大型のシステムでないと意味がないので、ディレクトリはQPIを共用するItanium向けだということであった。
とあり、8ソケットのシステム程度ではディレクトリ方式は過剰だと判断した、ということのようだ。

また、
Nehalem EXはEPと比較するとコア数が2倍になっただけでなく、3次キャッシュ周りとメモリインタフェースが強化されている。ただし、この部分に関してNehalem EPの詳細は発表されていないので、3次キャッシュとCaching Agentなどをリングバスで接続する構造は、Nehalem EPでも同じである可能性もある。
とあり、「4コア→8コアでキャッシュ構造の変更が必要だとIntelは判断したらしい」というのもあやしくなってきました :)

2009年8月28日金曜日

Rainbow Falls

Joergさんのブログに HOT CHIPS 21 の講演資料が公開されている。

Rainbow Falls

16コアを搭載するだけあって、コアとL2$間のクロスバーがとんでもないことになっている。

アーキテクチャよりの発表だったようで、残念ながらダイ写真はもちろん、詳細レイアウト済みのCAD画面もなく、概略フロアプランの図のみが公開されたようだ。

ひょっとすると、開発はあまり順調でないのかもしれない。Oracleによる買収の影響を受けている可能性もある。

また、Rainbow Fallsに載る予定の、セキュリティアクセラレータに関する発表の講演資料も。

Hotchips: Sun's 3rd generation on-chip UltraSPARC security acclerator

こちらは、EE Times の記事。

Sun, IBM push multicore boundaries
Sun Microsystems claimed a new watermark for server CPUs, unveiling Rainbow Falls, a 16-core, 128-thread processor at the Hot Chips conference Tuesday (August 25).
Rainbow Fallsは16コア×16スレッドではなく、16コア×8スレッド(128スレッド)のようだ。上記のセキュリティアクセラレータの資料にも "8 strands per core on UltraSPARC RF" という記述がある。
Sun's Rainbow Falls will require about 30 percent more power than the previous generation called T2+ which integrated eight cores. However, the new chip?built in a 40nm TSMC process--is about the same size as the T2+.
TSMCの40nmプロセスを使用し、T2+とほぼ同サイズで消費電力はT2+比で30%増とのこと。


['09.10.05 追記]

安藤さん。

Hot Chips 21 - Sunの16コア256スレッドプロセサ「Rainbow Falls」

SPARC64 VIIIfx at HOT CHIPS 21

SPARC64 VIIIfx
- 8コア
- 2GHz
- L2$ 5MB
- 128GFLOPS
- 58W

Fujitsu Aims for 10-petaflop Supercomputer

2009年8月26日水曜日

AMD の Magny-Cours

12コアと言ってもIstanbul(6コア)のニコイチなので、MCMの実装に興味があったんですが、残念ながら論理的な接続しか載っていませんでした。

AMDが12コアCPU「Magny-Cours」の技術概要を発表


['09.09.09 追記]

安藤さんによる解説記事。

Hot Chips 21 - サーバ向けプロセサの「Magny-Cours」と「Nehalem EX」

2009年8月25日火曜日

Intel がマルチプロセサ向けのソフトウェア会社を買収

Intel社、マルチコア・プロセッサ向けプログラム開発ツールの充実を図る

地味ながら着実な手を打っているようだ。

PC向けであればせいぜい2CPUといったところなので、マルチプロセサ向けの対応なんてハイエンドサーバをやってる会社に任せておけば良かったが、1つのCPUに8つもコアが搭載される時代になってくると、そうも言ってられないというところか。

TSMC の 28nm プロセス

TSMCが28nmプロセスでSRAMの製造に成功したそうだ。

TSMC、28nmプロセスSRAMの製造に成功

ハイパフォーマンス向けではHKMGを導入している。ただし、以前まで開発を続けていたはずのゲートファースト方式ではなく、Intelが採用したゲートラスト方式によるものだそうだ。

一般的にゲートラスト方式の方がコスト高になると考えられているようだが、モノが出来なければ意味がないので、既に量産実績のあるIntel方式に近づけたというところだろうか。

以下は、関連記事。

TSMC,28nm世代のhigh-k/メタル・ゲートにゲート・ラスト方式を採用

こちらでは、ゲートファースト方式からゲートラスト方式への切り替えについても言及されている。

Nokia が PC 市場に進出

かねてからの噂の通り、Nokiaがネットブックを出すそうな。

NokiaがPC市場に進出 Windows搭載の3GミニノートPCを投入

位置情報機能A-GPSも備え、Nokia Music StoreやOvi SuiteなどNokiaの各種ネットサービスも利用可能。Ovi SuiteでBookletとスマートフォンを同期化することもできる。
ここらへんが売りなのだろうが、果たしてAppleのように上手く商売ができるのかどうか。市場に「普通のネットブック」としてしか認識されなかったとしたら、とても勝ち目はないと思われる。


['09.08.26 追記]

携帯からPCへ――Appleの逆を行くNokiaの覚悟と勝算
「PC業界の利益率のレベルは知っている。それを知った上で参入した」とNokiaの携帯電話部門責任者カイ・オイスタモ氏はReutersに語った。
まあ、そうだろうねえ。

「PCの世界に新たな視点を持ち込むチャンスがある」と同氏は語り、Nokiaは長いバッテリー駆動時間と常時接続を取り入れると付け加えた。
新たな視点って何だろう?
「問題は、Nokiaがどうやって差別化するかということだ。既に多数のメーカーが参入している。差別化できれば、競争上有利になる」とGartnerのアナリスト、カロライナ・ミラネシ氏は語る。
別にアナリストじゃなくても、そのくらい分かりますって。

さて、どうなりますか。


['09.08.28 追記]

ARMベースのスマートブックも出すという話が。

Nokia plans ARM based smartbook

一方でLinux搭載のスマートフォンなんてのも。

Nokia、Linux搭載スマートフォン「N900」発表

Symbianでは上の方は目指さないということだろうか

2009年8月21日金曜日

2009年8月13日木曜日

Microsoft と Nokia が提携

MicrosoftとNokiaが、モバイル版Microsoft OfficeをSymbian OS上で利用可能とする、といった内容の提携を発表した。

MicrosoftとNokiaが提携,モバイル版OfficeをSymbian携帯電話に

Nokiaは6月のIntelに続き、かつてのライバルと手を組むことになる。
米Gartnerの調査によれば,2009年第1四半期のスマートフォン市場におけるNokiaのシェアは41.2%でトップ。ただしiPhoneやBlackBerryの影響などで,前年同期の45.1%に比べて減少しており,テコ入れを迫られていた。

とあるように、かつて絶対的強さを誇ったNokiaの姿はそこには無いようだ。

Microsoftにしても、スマートフォンではiPhoneやBlackBerryの後塵を拝しており、渡りに船といった状況だろうか。Windows MobileとSynbian OSの関係がどうなるのかといった点でも、今後が注目される提携である。

なお、以下の記事によれば、成果が出てくるのは少し先の話のようだ。

マイクロソフトとノキア、携帯電話への「Office」搭載で提携--RIM追撃を狙う
しかし、今回の提携が成果をもたらすには、しばらく時間が必要になる。両社が2010年において公約しているのは、「Communicator」インスタントメッセージングプログラムをSymbianに搭載させることのみだ。
MicrosoftのTakeshi Numoto氏は「最初の成果物が出てくるのは2010年となる」とインタビューで述べた。「それ以上のことは検討中」(Numoto氏)
このことをふまえた場合、携帯版「Excel」「PowerPoint」「Word」「OneNote」がSymbian携帯に初めて搭載されるには2011年までかかり、またその場合も単にEシリーズから導入を始めると考えるのが妥当のようだ。

2009年8月11日火曜日

Rock is dead

SunがRockの開発を中止したようだ。

Sun's Rock is barefoot on Abbey Road
According another source who is high up in the IT offices at a major financial services firm in Europe, Sun told its biggest customers in Europe in the third week of June that Sun had "axed the Rock completely."

それから、
Rock (中略) had "severe performance issues" when more than one processor was hitting the Supernova server backplane.

というのがキャンセルの最大の理由だとか。

また、この情報を裏付けるかのように、

6858457 Remove Solaris support for UltraSPARC-AT10 processor

なんて話が。

2009年8月7日金曜日

たとえば対戦型ラウタ

経路が重なったときはバトル発生! 敗者は他の経路を探さなければならない。

# 何か違う気がする。

【DAC 2009】「最後に頼れるのはヒト?」,Human Computationで2件の発表
もしLSI設計のどこかの段階でうまく切り出せてパズルにできるような問題が見つかれば,例えば夕方インターネットで公開して,次の朝には世界のどこかの誰かが最適な解を報告してくれるかもしれない。
## クリティカルパス担当の人は「ずっと俺のターン!」

2009年8月6日木曜日

便利さとセキュリティのトレードオフ

アメリカ海軍が海軍内のネットワークからのSNS(Twitterを含む)の利用を全面禁止したそうだ。軍隊ともなれば、情報漏えいのリスクを考えると当然といえば当然か。

ところで、
アメリカンフットボールチームのGreen Bay Packersでは、ミーティングの内容をSMSやTwitterで流したチームメンバーには罰金を科すつもりだと通告があったという。Miami Dolphinsでも選手に対してTwitter禁止令が出ているほか、San Diego Chargersの選手Antonio Cromartieが同チームキャンプの食事への不満をTwitterで流したことで2,500ドルの罰金を申し渡されている。

アメリカらしいネタというか、なんというか。

増えだしたTwitter系トラブル - 米海軍はSNS全面禁止令へ

2009年8月5日水曜日

TSMC の HKMG は前途多難?

GLOBALFOUNDRIESがTSMCより技術的に優れているなどという分析結果が出されていたりしたが、それを裏付けるかのように、TSMCがhigh-k/メタルゲートの導入でトラブっているという話があるようだ。

Commentary: Did TSMC delay high-k--again?

2009年8月4日火曜日

GLOBALFOUNDRIESはTSMCより技術的に優れる?

Gartnerのアナリストが、GLOBALFOUNDRIESはTSMCよりも技術的には優れていると分析しているそうだ。

Globalfoundries more advanced than TSMC, analyst says

2009年8月1日土曜日

Nvidia による DAC 基調講演

Nvidiaでは、設計の極めて初期の段階で電力の見積もりが可能な、高位設計ツールが必要とされているようだ。

# EDAでGPU使えって話は、NVdiaの人が言うのは当然なので、とりあえず置いておく。

Nvidia chief scientist to EDA: Give us power tools
Chip designers will need tool and techniques to optimize power, interconnect and locality, Dally said.
"We are really looking to EDA to give us power tools," Dally said.
Tools are needed to enable power exploration and analysis at the architectural levels, Dally said. "I want high-level tools that allow you to gain insights into power architectures very early in design," he said.

Intelの45nmプロセスの歩留まりが短期間に向上した理由

Tech-On!の小島さんが、Intelの45nmプロセスの歩留まりが短期間に向上した理由の一つとして、トランジスタのレイアウト方法が変更されたことが考えられると推測している。

【DAC 2009】米Intelの45nmプロセスの歩留まりが短期間に向上した理由の一端を知る

記事中の図を見れば分かる通り、65nmから45nmの間で配置制約がかなり厳しくなっており、構造が単純化していることが分かる。主目的としては、OPCなどで必要となる設計ルールを減らすことのようだが、結果的に不良率の早期低減にもつながったのではないか、としている。

確かに、十分考えられることだろう。

Intelの資料には、65nmプロセスと32nmプロセスのレイアウトの特徴として以下のような説明がある。

65nm
- Bi-directional features
- Varid gate dimensions
- Varid pitches

32nm
- Uni-directional features
- Uniform gate dimension
- Gridded layout