AppleがiPhone用プロセサを自社開発するという噂がある一方で、現行のiPhone 3GS用プロセサの製造元であるSamsungが動作周波数1GHzのモバイルプロセサを発表した。
Samsung, Intrinsity pump ARM to GHz rate
アーキテクチャはCortex A8であり、消費電力はわずか640mWとのこと。
Samsungを馬鹿にするわけではないが、この高速化と低消費電力化には、共同開発したIntrinsityが大きく関わっていると思われる。
Intrinsityについてググってみると以下のような記事が見つかった。
【EPF速報】Intrinsity社,2GHzで動作するMIPSチップの詳細を明らかに
ARM と Intrinsity、Cortex-R4 の高性能実装「Cortex-R4X」
1つ目の記事は、2002年(!)に2GHzのマイクロコントローラを発表したという記事であり、2つ目の記事はCoretex-R4の高性能化で、本家のARMと提携したという記事である。今回のSamsungのチップが上記2つの記事にあるnMOSドミノ回路を使ったものかどうかは定かではないが、今後しばらくはInstrinsityの動向に注目しないといけないかもしれない。
直接関係あるかどうかは分からないが、以下のような記事も。
【DAC 2009】32/28nmのSoCでARM, Chartered, IBM, Samsung, Synopsysの5社が手を組む
ARMはIPコア/回路ライブラリ,SynopsysはEDAツール,残りの3社(Chartered,IBM, Samsung)は「Common Platform」経由で製造サービスを主に提供する。設計,IPコア/回路ライブラリ,製造サービスの三つの要素がそろったことで,「完全に垂直統合されたSoCのソリューションを提供できるようになった」
CAD屋だから言うわけではないが、やはり注目はEDAベンダであるSynopsysが提携に加わっているということだろう。最近のTSMCは以前に比べてEDAに積極的に関与するようになっている。プロセスの微細化が進むにつれ、純粋な水平分業が成り立ちにくくなっているのではないだろうか。
以前、日本の半導体メーカーが水平分業ではないことを強みとしようとしていたが、こういう提携によってそのような強みは簡単にひっくり返されてしまうだろう。経営の判断スピードは重要なのである。
['09.09.28 追記]
IntrinsityのFast14 Technologyについて解説した記事を、たまたま見つけた。
AMCCとARMの新プロセッサ
特徴としては
- 4フェーズの位相クロックを使っており、このクロックのオーバーラップタイミングを使ってゲートのアクセスが行なわれる関係で、ラッチが不要
- 1-or-N Dynamic Logic(NDL)と呼ばれる、独自のデータの持ち方をすることで、回路規模を大幅に削減する
- NMOSトランジスタのみを使うことで、消費電力を減らす
- Expert Routing Technologyと呼ばれる独特な配線技法により配線の効率化を図る
といった事が挙げられる。
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